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日照権について(府中市・多摩市の方からの相談)

質問
日照権侵害について教えて下さい。

 

回答
隣に高いビルが建った場合、日照権の侵害とならないのか、という相談を何度か受けたことがあります(確か、多摩市と府中市の商業地域だったかと記憶しております。)。
私見を交えた結論ですが、現在において、日照権が問題となるケースはかなり少ないものと考えております。
現在の建築基準法には、日影規制というものがあります。用途地域に応じて、建物による日影の量を制限する規制です。この規制と北側・道路・隣地への斜線規制、高度規制を合わせ、これらの規制内において建てられた建物は通常、日照権の侵害にならないと思われます(理論的には、これらの規制と日照権は別個の問題であるため、規制を充たしながら日照権侵害が認められた判例もありますが、特殊なケースが多いかと思います。)。逆に、最近はほとんどないかと思いますが、これらの規制に反した建物(例えば、建築確認をせずに増築などを行い、規制に反するケースが考えられます。)については、高い可能性で日照権侵害と評価できることが多いでしょう。
日影規制の適用がない地域についてですが、工業地域の場合、用途地域は工業地域のままであっても実態としては住宅地となった地域においては、日照権が問題となる場合もそれなりにあろうかと思います。
対して、同じく日影規制の適用がない商業地域の場合、通常、土地の高度利用の必要性が高いため、日照権は大きく制限を受ける解釈をされる場合が大半ではないかと思われます(用途地域が商業地域であるも、実態としては住宅地というケースは非常に少ないものと思われます。)。
府中市や多摩市の商業地域の場合、商業地域としての実態があり、また、土地の高度利用の必要性も高いことから、日照権の侵害を問題とすることは非常に難しいものと思われます。