事業の再生など
主要な取引先の倒産により売上が低下して銀行への返済が困難だ。会社の負債は膨大であるが、どうにか事業は維持して息子へ引き継がせたい。会社の清算はやむを得ないが従業員の生活は守りたい。
経営環境悪化の中、経営者である方の悩みは大きいと思います。
そんな時、弁護士の介入がなくとも不採算事業からの撤退や本業の効率化、資産の処分などによって、利益を確保し会社を再生できることもあります。
ですが、経営の合理化を実行しても金融機関への返済が困難な場合。
早急に弁護士へご相談ください。
遠隔地への出張(有料)もさせていただきます。
ご相談が早ければ破産以外の選択をする余地が広がります。
再建が不可能な場合、破産手続により債務を一掃し、再出発を図れます。
弁護士鈴木徳太郎は、ホテル、旅館、建設業など、
整理案件を多数手掛けた経験があります。
事業の再生・整理の手法
再生・整理の手法は様々なものがありますが、主要なものは以下のとおりです。
■ 任意整理(私的整理)による再生
任意整理を行う場合、銀行や債権回収会社との交渉を行います。
負債の減額や返済スケジュールの変更をお願いすることになります。
ですが、いついかなる場合でも、という訳にはいきません。
中小企業の場合、代表者の自宅などに担保が設定されていることがあるかと思われますが、
この場合、銀行や信用金庫、その保証会社などから自宅などの任意売却を要求されます。
担保の処理を行った後、銀行や信金は残った負債を債権回収会社へ売却することになります。
その後、負債の大幅な減額または少額を長期に渡って返済する内容の和解交渉をします。
一方、営業用のビルや店舗、工場などに担保が設定されている場合、
返済計画のリスケジュールを行い、担保の実行を待ってもらうよう交渉を行います。
ただし、金融機関は、短期間での黒字化を可能にするような事業計画の立案を要求します。
その計画が達成できなければ担保が実行されるため、大規模な人員削減などが避けられなくなります。
金融機関に対し債権回収会社への債権の売却を持ち掛けて、債務の減額交渉を行うこともあります。
(営業用の資産に担保が設定されている場合、その実行を迫られる可能性があります。)。
このようにして負債の圧縮を図りますが、債務免除益に対する課税には注意が必要です。
(繰越欠損金があまりありませんと課税を受けることになります。)。
主要な取引先とは交渉を行い、支払を待ってもらったりすることがあります。
ただ、事業を継続する場合、取引先への支払を減額するのは任意整理では難しいと言えます。
また、事業継続の場合、銀行取引停止処分を受けないよう振出手形は回収が原則となります。
■ 事業譲渡・会社分割による事業の再生
譲渡する元の会社は破産によって整理し、事業を売却して再生を図ります。
譲渡先には、後継者が新たに立ち上げた新会社や、懇意にされている取引先が期待されます。
なお、譲渡には適正な査定に基づく対価の支払いが必要です。
元の会社の破産に際し、その対価が債権者への配当へ回されることになります。
■ 民事再生
通常の民事再生は、ある程度大きな事業者を対象とするものです。
この手続を行っても、役員の経営権は直ちに失われません。
ですが、申立がなされても担保権の実行が禁止されないという問題があります。
民事再生を遂行するためには担保権者と交渉し、担保権の実行を待ってもらわねばなりません。
そのため、担保権者に経営陣の維持を認めてもらうことも必要となります。
こうした問題を切り抜けても、信用不安の問題が残ります。
民事再生を申し立てると、買掛先は現金以外での取引に応じなくなるのが普通です。
そのため、事業継続には、一定の運転資金の準備が不可欠です。
また、大きな事業者であってもクレジットカード会社との取引が停止します。
失われた信用を取り戻すには、スポンサーを探すという手段があります。
スポンサーを見つけるには、お知り合いに頼む、主要取引金融機関になってもらう、
監督委員に探してもらう、入札を行うといった方法があります。
なお、スポンサーの選定には事業価値の評価が必要になります。
事業価値の評価は弁護士、公認会計士などが行うのが一般的です。
民事再生を行う場合でも、債務免除益に対する課税には注意が必要です。
■ 会社更生
会社更生は、民事再生と同様、会社を再建するための手続きです。
ただし、民事再生と異なり、特例有限会社は利用で きません。
会社の管理処分権は、手続の開始決定後、更生管財人へ移ることになります。
会社更生の場合、担保権の実行も止めることができ、この点で民事再生よりも効力が強いといえます。
ただし、開始決定後の一定の運転資金が必要なことは民事再生と同様です。
債務免除益の問題もあります。
■ 破産
破産は、再生が難しい場合に行われます。
会社の財産を処分、換価し、可能な限りの返済を行った上で債務を帳消しにする手続きです。
破産手続が終結しますと、会社は消滅します。
会社の場合、破産の開始決定があると、破産管財人が選任されます。
会社の管理処分権は破産管財人に移転し、処理を進めることになります。
代表者が会社債務の保証を行っている場合、会社と並行して代表者の債務を整理する必要があります。
案件によっては、代表者につき任意整理や個人民事再生で処理を行うこともあります。
このとき、ご自宅に住宅ローン以外の担保設定がなければ、ご自宅の維持が可能になる場合もあります。
詳しくは、債務問題のご相談ページをご覧ください。
■ 特別清算
清算中の会社が債務超過の可能性がある場合に行われる手続で、株式会社のみが対象になります。
不採算の子会社を整理するに用いられることが多い手法です。
子会社に対する債権を親会社に一本化することで、破産よりも簡易な手続きで事業を清算できます。
■ 弁護士費用
事業の再生・整理の弁護士費用は、方針と営業規模によって変化しますので、一概に幾らで可能とお答えすることは困難です。まずは、ご相談下さい。